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コラム

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さがす人、つくる人の住まい

家づくりには建築士の存在は欠かせないものですが、設計事務所となると、どうも「敷居が高い」「とっつきにくい」などのイメージがあるようで、なかなか依頼ができないという話を耳にします。

そこで、一級建築士事務所 設計処櫻での「家づくり」が実際にどのように進められるのかをご紹介したいと思います。

今回は、いよいよ最終回。

注文住宅だからこそ

現場の作業が着々と進んでいく中、暖房と換気のダクトが天井裏に吊られていきます。

今回は換気の給気をガスボイラーの熱交換で暖め、暖房として利用するというもの。ですから、通常の換気システムよりもダクトの本数が多く、その出入りも複雑なのです。天井裏を覆うその姿はまるで大蛇のようで、Kさんも「凄いですね~」と一言。

建物は、最終的な見た目では解らない部分が多いものです。躯体の木材や金物、断熱材などもそういったところでしょう。全ての意味が解らないまでも、施主自ら、その一つ一つを見て確認できるところが注文住宅だからこそのメリットです。

現場を見ることで、イメージの違いにすぐに気付くことができ、より良くしたいという気持ちも膨らんでくるものです。その一例として、今回は照明の変更が何箇所かありました。

壁付けのものをペンダントタイプにしたり、少しだけ位置をずらしたり、器具も施主支給品が若干多くなりました。数ヵ月かけて図面をつくりイメージしてきたものでも、現場で見ると「こっちの方が美しい」ということがあるのです。

こういうわがままとも言える変更に快く対応してくれる施工会社に感謝しつつ、イメージはより膨らんでいくのです。

キッチンのタイルと目地の色

このコラムでも以前に登場したタイル貼りの造作キッチン。当初は白いタイルに白い目地だったのですが、どうやら変更の模様。タイルは白に近いアイボリーで目地はグレーに決定。

ここでも「古さが味につながる」という、この住宅のコンセプトが伺えるのですが、施主が愛着のもてる空間づくりは、実際にそこで暮らす人にしかできないことでもあるのです。それをできる限り汲み取って形にしていくのが私の仕事。

グレーにした目地がうるさくならないよう、50mm角だったタイルを100mm角に変更し、タイル割が変わらないかどうか、また、コンセントの位置は大丈夫かなどをチェックします。

ひとつの事を変更すると、それに伴う他の部分の変更が必要だったりするので、慎重に検討していかなければなりません。これも全て「住み良い家づくり」のため、私達プロの腕の見せ所でもあるのです。

どうしよう?クロスとカーテン

昨今の住宅建築は、一般的に着工と同時にほぼ全てのものが決まっているというスタイルが多いのですが、今回は最初に予算のみ設定し、工事の進行に沿って段階的に決定していくという方法をとっています。その方が「実際に見る」ことにより、図面では解らなかった部分までイメージできるので、「こうしておけば良かった」をできるだけ無くすることが可能だからです。

特にKさんご夫婦のように「言葉に表せない感覚的なニュアンス」を望まれる方にはお勧めかもしれませんし、モデルハウスのないオリジナルな家づくりだからこその醍醐味でもありますね。

さて、最終的にクロスとカーテンを決定しなければならない時期になりました。私は、クロスだけ、カーテンだけ…を決めるのではなく、トータルコーディネートとして考えることをお勧めすることが多いのですが、これにはかなりの時間を要します。

最初に設定した価格に沿ってカタログから選んでいくわけですが、イメージどおりのものがあれば決まるのも早く、しかし、無いとなると大変なものです。

まずは、カーテンのイメージが「麻のような目隠しくらいの感じ」と決まっているリビングのクロスはすんなりと決定。お母さんの部屋もすんなりと決定。子供部屋も悩みながらもカーテンを含めたイメージが固まり、水まわりも意外とすんなり決めることができました。これも時間をかけて現場を見ながらイメージできたからなのでしょう。

ただ、唯一決定できないのが奥さんの仕事コーナー。ここにはパソコンなども置きますから、色の統一はできませんし、だからといってリビングからも見える位置なので悩みどころです。
それと迷うのはリビングカーテンの取り付け方法。アイアンレールにするか、木調レールにするか…それともワイヤーレールにするか。

しかし、どれもリビングの雰囲気には合わないように思います。かといってブラインドやシェードもイメージが違うかもしれません。悩んでいるのは現在進行形…さあ、どんな感じに仕上がるのでしょうか、できあがりが楽しみです。

ポスト、門柱、表札は?

この建物は気密性を考慮して壁にポスト口を設けていません。ですから、ポストは外に門柱を設けて表札と一緒に設置する…ということまでは設計段階で検討していたのですが、いざ実際に現場の作業が進んでくると、やはり悩むところ。

外観的にも門柱が有ったほうが良さそうですし、あとはそのデザインの検討です。Kさんご夫婦と一緒に考えた結果、枕木を数本ランダムに配置して、そこに表札をつけることに決定。一緒に設置する予定だったポストは使い勝手重視で玄関脇の壁に取り付けることに。

日々の生活を想像して使い勝手を考えながら、建物の機能性とデザインを損なわないように配慮する。これが簡単なようで非常に難しく、そこに住む人である施主の「こうしたい。こうあって欲しい」という強い思いと、プロである建築士、施工会社の「希望をできるだけ叶えたい」という熱い思いが重なって初めて実現できるものなのだと思います。

施主Kさんからの言葉

ちょうど1年前、一念発起して家づくりを決意したものの、どこのハウスメーカーさんが一番合うかな?くらいの軽い認識だった私達夫婦でしたが、家づくりという一大事業を真剣に考えるにつれ、最終的には設計事務所さんの扉を叩くことになりました。

引き渡し目前の今になって振り返ってみると、私の場合、家づくりのカギを握っていたポイントは、パートナー選びで8割、あとの過程で2割といったところです。

まるで御自分の家を建てるみたいにアイデアを出して奔走してくれた建築士さんと、職人魂に溢れた技術力のある施工業者さんをパートナーに選んだ段階で、家づくりの成功は約束されたように思います。

おかげ様で何も思い残すことなく、一生に一度の家づくりを楽しみ味わうことができ、また想像以上の出来上がりにすっかり満足しています。

私達の家づくりに関わった全ての方々に、心から感謝しています。

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